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人生設計の立て方を具体例と共に解説!
1.人生設計とは?
「ライフプラン」という言葉を聞くことがありますが、具体的にどのようなプランを立てるのかというと、そこまでは理解していない人も多いかもしれません。
ライフプランとは、その名の通り“人生設計”のことです。叶えたい未来の目標に向けての人生(ライフ)の設計(プラン)図のことです。
例えば、マイホームを持ちたいという目標を持っていたとき、その目標を30歳で実現させるのか45歳で実現させるのかで、購入可能な家の予算や、購入後の返済計画は全く変わってきます。同じ35年でローンを組んだ場合、30歳で購入した場合は在職期間中にローンを完済できますが、45歳で購入した場合の完済年齢は80歳となりますよね。果たして限られた年金から住宅ローンの返済は可能でしょうか。
住宅以外にも、子育てや働き方、老後の過ごし方など、様々な夢や想いがあるでしょう。これからの人生の夢や想いを整理し、具体的な設計図に落とし込むことで、自分の夢を夢で終わらせてしまうのではなく、着実に実現させることができるのです。
2.人生設計のメリット
人生設計を立てることは、自分自身の人生にとってさまざまなメリットをもたらします。いったいどのようなメリットがあるのか、詳しくご紹介しましょう。
2-1 お金について考え直すことができる
人生設計を立てるメリットのひとつが、お金について考え直すことができることです。
毎月給料をもらい、その中で「今月は光熱費が少ないから、その分を交際費に回せる」といった目先のやりくりをしているだけでは、5年後・10年後の未来を把握することはできません。
子どもの教育費や、マイホームの費用、老後の費用などは、長いスパンでお金のことを考えてこそ捻出することができます。
こうしていつ、何のために、いくら必要になるのかをあらかじめ把握しておくことで、お金の使い方や貯蓄についてあらためて考え直すことができるでしょう。
2-2 リスクに未然に備えることができる(セカンドプランを立てる)
人生のすべてが思い描いた通りにいくとは限りません。ただ、リスクを加味した人生設計を立てることによって、自分の人生で起こるさまざまなリスクに対して、事前に準備しておくことはできます。
たとえば、「夫が40代で交通事故に遭い、仕事を失ってしまった」というような悲しいリスクもあります。また「子供の学業成績が優秀で、なんとか医学部に行かせたい」などという喜ばしいリスクもあるかもしれません。メインプランと同時に、人生のブレに対応するためのセカンドプランを作ることで、より安心した人生を送ることができます。
もちろん、そのようなことはまったく起こらないかもしれません。しかし、「想定外を想定」しておくことで、安心して生活を送ることができるのです。
人生は、いつ何が起こるかわかりません。人生設計は、そのようなリスクも加味した上で、考えることが大切です。
2-3 理想のライフスタイルに近づくことができる
人生設計を立てる大きなメリットのひとつといえるのが、自分の理想のライフスタイルに近づくことができることです。
たとえば「30代で結婚し、子どもを二人産んで、子どもが幼稚園に上がる前にマイホームを持つ。40代で独立して、経営コンサルタントの事務所を構える。70歳まで働いて、その間に老後資金をいくら貯金し、それ以降は世界中を旅して歩きたい」といったような、夢や目標を持っていたとしましょう。
これらは、ただ漠然と考えていても実現する可能性は低いですが、人生設計を立てて「〇年までにいくら貯蓄する」といった計画のもとに動くことで、理想のライフスタイルに近づけることができます。
将来から逆算して「今月いくら貯蓄すべきか?」がわかるので、はっきりとした目標を持って、お金を動かすことができるでしょう。
2-4 自分や家族と深く向き合える
長い一生の中には、結婚し、子どもができ、やがて定年を迎えて老後の生活を送るという、その人ならではの人生のシナリオがあります。
シナリオのストーリーは人によって違い、結婚しない道を選ぶ人もいれば、結婚しても子どもを産まず、夫婦で仕事に邁進する人もいるでしょう。
100人いれば、100通りのストーリーがあるということです。
その人生のシナリオを前もって描いておくことで、自分自身の人生を俯瞰してみられるようになるのは、人生設計を立てる大きなメリットです。
将来の夢や希望を考えることで、自分自身の思いと深く向き合い、家族と未来について語り合う機会もできるお金を動かすことができるでしょう。
3.人生設計の立て方
「人生設計を立てるといっても、なんだか難しそう」と思う人もいるかもしれませんが、けっしてそんなことはありません。
次のようにステップを踏んで、丁寧にひとつずつ考えていけば、自分にピッタリのライフプランを設計することができます。
3-1 なりたい姿を想像する
まずは、「自分が将来どうなりたいのか?」という、理想の姿をイメージしてみましょう。
「自分がどうなりたいのかがわからない」という人も、いまこの時点における自分の理想を、イメージしておくことが大切です。もし将来的に目指す方向が変更になれば、その時点で見直することもできるでしょう。
また、「理想の将来をイメージしたとしても、その通りになるとは限らない」という人もいます。たしかに、人生は自分の思い通りに進むとは限りません。しかし、
「こうなりたい」という姿をイメージして行動することによって、より理想の人生が実現する可能性は、グンと高くなります。
自分の将来がイメージできたら、今度はそれを思いつくままに書き出して、「やりたいことリスト」を作ってみましょう。
たとえば「アメリカに1年間留学したい」「郊外に広い一軒家を建てたい」というようなことでもOKです。自分が実現したいことを、次のように自由に書き出してみましょう。
定年まで今の会社に勤めたい
子どもを1人持ちたい
住み慣れた地域に家を建てたい
車を持ちたい
老後に世界一周旅行に行きたい
最終的には夫婦で介護施設に住み、優雅に暮らしたい
やりたいことリスト
20代後半に結婚したい
子どもが2人ほしい
老後に趣味の店を開きたい
やりたいことリストの例
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このように、自分がやりたいと思っていること、こうありたいと思っていることを、いくつでも思いつくままリストに書いていきます。
3-2 ライフイベントを整理する
「やりたいことリスト」を書き終えたら、次はそのリストをもとに、具体的な計画を立てていきます。
25歳 Webエンジニアになる。
30歳 結婚する。
32歳 第1子出産
34歳 第2子出産
36歳 東京近郊に一戸建てのマイホームを購入する
ライフイベントの計画例
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たとえば上記のリストのように、「何歳頃にどんな仕事に就きたいのか?」「何歳で結婚したいのか?」といったライフイベントを、年齢順に老後まで書いていきましょう。理想の人生を文章化することで、自分が何を求めていたのかを、あらためて確認することができます。
ここで気を付けてほしいのは、「これはきっと無理だろう」と自分の中で勝手に予測して、できそうなことだけを選んで書く人がいることです。
もちろん、これはNGです。実現不可能かどうかは、後で人生設計シートを作成すればわかるので、あくまでも自分が「こうしたい」と思うことを書くようにしましょう。
自分の思い通りの年齢に結婚相手が見つかるとは限りませんし、予定通りに子どもが生まれるとも限りませんが、自分の希望をはっきりさせておくことで、いざというときに落ち着いて行動することができます。
3-3 将来使うお金について計算する
ライフイベントを書き終わったら、今度はその理想を実現する場合に、いったいいくらかかるのかを計算します。
人生の中の大きなライフイベントとしては、「就職(転職)」「結婚」「出産」「子育て」「住宅購入」「退職(リタイア)」があります。
日本FP協会の発表によると、主なライフイベントにかかる費用の目安は、以下の通りです。
主なライフイベントにかかる費用の目安
就職活費
結婚費用
出産費用
教育資金
住宅購入費
老後の生活費
介護費用
緊急資金
約14万円
約467万円
約51万円
約1,049万円(一人あたり)
約3,340万円(建売住宅の場合)
月約26万円
月約17万円
約60万円
出典:日本FP協会 URL:https://www.jafp.or.jp/know/lifeplan/indication/
実際はこれらの中には使える情報、使えない情報が混在していますので、取捨選択が必要となりますが、自分で人生設計を作る際の参考情報にはなるでしょう。
3-4 計画をたてる
さて、ここまでできたら、いよいよ「人生設計シート」を作成してみましょう。自分で人生設計シートを作成するときは、エクセル(Excel)を使うと便利です。具体的な記入方法については、後ほどご紹介しましょう。。
4.人生設計の具体例
では、人生設計を立ててから「人生設計シート」を作成するまでの、具体的な例をご紹介しましょう。
4-1 やってみたいことをまとめる。
まずは、ここまでで「やりたいことをリスト」を作成します。
これは、日本に住む30歳の男性会社員の事例です。この男性は、現在一部上場企業のエンジニアをしており、定年まで同じ企業で働く予定です。昨年結婚したばかりで、これから子どもを1人持ち、マイホームを購入して、定年後は夫婦で世界一周旅行がしたいと考えています。
定年まで今の会社に勤めたい
子どもを1人持ちたい
住み慣れた地域に家を建てたい
車を持ちたい
老後に世界一周旅行に行きたい
最終的には夫婦で介護施設に住み、優雅に暮らしたい
やりたいことリスト
次に、やりたいことをライフイベントに当てはめていきます。
32歳 子どもが生まれる
35歳 子どもが幼稚園入園。車を購入(ワゴン車)
37歳 一戸建てのマイホームを購入する
39歳 子どもが小学校入学
44歳 車を買い替える(普通車)
45歳 子どもが中学校入学
48歳 子どもが高校入学
51歳 子どもが大学入学
53歳 車を買い替える(普通車)
55歳 子どもが大学卒業・就職
57歳 子どもが自立して家を出る
62歳 車を買い替える(軽自動車)
65歳 定年退職
66歳 夫婦で世界一周旅行に行く
76歳 サービス付き高齢者住宅に転居
ライフイベントの計画
4-2 計画をたてる
ライフイベントの計画が立ったら、エクセルを使って「人生設計シート」を作成します。
上記のように、横軸に「西暦」、縦軸に自分の家族の「名前」(現在未婚の場合は「配偶者」「子ども」というように書きます)を挙げ、「年齢」を書き込みます。
さらにその年の「ライフイベントを記入し、そのためにかかる「費用」を記入します。このようにして老後まで記入していきますが、長期的な人生設計が難しい場合は、自分のできる範囲まで記入するようにしましょう。
この人生設計シートを使って、収入・支出を含めたキャッシュフローを計算するためには、次のような表を作成します。
「夫の収入」「妻の収入」「基本生活費」「住居費」「車両費」「教育費」「保険料」「その他の支出」などを含めて年間収支を算出し、「貯蓄残高」を割り出します。
このようにして人生設計のキャッシュフローを把握することで、「マイホームは購入できるか?」「60代に世界一周旅行はできるか?」といったことも見えてくるでしょう。
失業や病気・ケガ・介護といったリスクに対しては、「生命保険」「損害保険」「失業保険」などで対応することになりますが、それ以外に「現金」としていくら必要かも、家族でよく話しておく必要があります。
ときには大規模な計画変更を余儀なくされることも、あるかもしれません。しかし、このように常に将来を見据えて人生設計を立てておくことで、より着実に自信をもって人生を歩んでいくことができるでしょう。
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